ヤミ金規制法の骨子

自殺者も出るほど社会問題になった闇金融被害に対する罰則の強化を盛り込んだ『ヤミ金融対策法』が成立し、
2004年1月に施行されました。

 

主要な項目点は以下のとおりです。
1.貸金業登録制度の強化
貸金業登録の審査については従来の貸金業と同様に、申請者等の本人確認を義務化し、人的要件を強化して暴力団員等を排除しました。また、財産的要件を追加することで、各営業所においては主任者の設置を義務付けし、厳格な登録基準によって審査を行うことに。

 

2.罰則の大幅な引上げ
◆ 高金利での貸付け。
※出資法で定める利息の上限金利(年29.2%)を超える貸借契約を行った場合
(改正前)3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又は併科
(改正後)5年以下の懲役若しくは1千万円(法人の場合3千万円)以下の罰金又は併科
◆ 無登録営業
(改正前)3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又は併科
(改正後)5年以下の懲役若しくは1千万円(法人の場合1億円)以下の罰金又は併科

 

◆ 違法な取り立て
(改正後)2年以下の懲役、3百万円以下の罰金
◆ 違法な広告、勧誘行為
(新設)百万円以下の罰金

 

以上のように、大幅な罰則の強化と新設がなされました。

 

 

 

3.違法な広告、勧誘行為の規制
◆ 携帯電話番号を用いた広告は禁止。
◆ 誇大広告の禁止に加え、顧客を誘引するためもっぱら低利の貸付けを広告するにも関わらず、実際には高利で貸付けることや、返済能力のない者を勧誘するような表示をすることなども禁止。

 

4.違法な取立行為の規制強化
◆ 貸金業規制法では、債権の取立てにあたり、人をおどかしたり困惑させることは禁止され ていますが、その具体例が法律で明記され、罰則が引き上げられました(無登録業者の行為も罰則の対象)。
@ 正当な理由なく、不適当な時間帯(午後9時から午前8時)に取立てを行ったり、勤 務先等の居宅以外の場所に電話や訪問を行うこと
A 債務者・保証人以外の第三者に対し、みだりに弁済の要求を行うことは禁止。
◆ 貸金業者は、貸付け、債権の管理・取立てを行うにあたり、不正又は著しく不当な手段
を用いてはなりません。年金受給証の徴求や、いわゆる押し貸しなどが禁止です。
◆ 貸金業者は貸金業の業務に従事する従業者に身分証明書を携帯させなければなりません。
◆ 貸金業者は、暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用していけません。
◆ 貸金業者は暴力団員等に債権を譲渡してはいけません。

 

5.高金利による貸借契約の無効化
利息が年109.5%を超える貸借契約は無効とし、利息については一切支払う必要がなくなりました。

 

 

施行された中で闇金被害にあっている人に一番関係が深いのが『違法な取立行為の規制強化』でしょう。
以下に分かりやすく取立てにおける禁止行為 (貸金業法第21条第1項関係)について解説します。

 

正当な理由がないにも関わらず、社会常識として不適当と認められる時間帯(午後9時から午前8時)に、債務者宅を訪問もしくは電話や、FAXを送信したりすること。

 

正当な理由がないのに、債務者及び家族等の勤務先や居宅以外の場所に電話をかけたり、FAXを送送付、また電報を送るなどをし、債務者及び家族等の勤務先や居宅以外の場所を訪問すること。

 

ハリ紙、立看板、その他どのような方法かは問わず、債務者の借入れに関すること、その他債務者や家族等の私生活に関することを債務者等以外の者に明らかにすること。

 

返済に窮した債務者等に対し、他の貸金業者(無登録業者を含む)から金銭を借入れることを示唆することや、これに類する方法 で返済することを要求すること。

 

債務者以外の家族や第三者に対し、債務者の代わりに返済することを要求すること。

 

債務者等が、弁護士や司法書士に債務処理などを委託し、債務を整理するための裁判所手続き後に、弁護士や司法書士及び裁判所からその旨の通知をした場合には、債務者等に対して電話をかけ、FAXを送ったり、電報を送付、そして勤務先やその他の居宅以外の場所を訪問するなどして返済を要求し平穏な生活を妨害すること 

 

前述したように、『取立の禁止行為』に違反した場合の罰則は施行前ですと「1年以下の懲役もしくは300万円以下の
罰金またはこれの併科」でしたが、今回の施施行により「2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、又はこれの
併科」に大幅に引き上げられました。

 

金融庁のホームページ掲載のヤミ金融対策法の骨子

 

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